相手方の財産を開示させる手続き②(第三者からの情報取得手続) |横浜の弁護士による不倫・慰謝料請求相談なら

不倫の慰謝料請求相談

初回相談1時間無料

045-594-7500

24時間Web予約
受付中

相手方の財産を開示させる手続き②(第三者からの情報取得手続)

1 はじめに

示談や裁判をして慰謝料を支払ってもらえることになったのに,相手方が支払ってこないという場合には,裁判所の強制執行手続を検討することになります。

しかし,強制執行をするには,何を差し押さえるか特定して行う必要がありますので,相手方がどのような財産を持っているかわからないと,強制執行をすることができません。

そこで,日本の民事執行法では,「財産開示手続」という制度が用意されております。この手続につきましては,こちらのコラム「相手方の財産を開示させる手続き①」をご参照ください。

 

また,2020年4月1日に施行された改正法により,債務者の財産を調査する方法として,「第三者からの情報取得手続」という制度が始まりました。

これは,強制執行をしたくても相手(債務者)の財産がわからないという場合に,債務者本人ではなく,第三者から情報を取得するための制度です。

今回のコラムでは,「第三者からの情報取得手続」という制度について,横浜シティ法律事務所の弁護士が解説いたします。

 

2 第三者からの情報取得手続

(1)どのような情報を取得できるか

①不動産情報

債務者名義の不動産の所在地や家屋番号について,法務局から情報提供してもらうことができます(民事執行法205条)。

 

②勤務先情報

債務者の勤務先の有無,勤務先の名前・住所について,市区町村・日本年金機構・公務員共済組合などから情報提供してもらうことができます(民事執行法206条)。

この情報があれば,給与・賞与の差し押さえをすることができます。

 

③預貯金情報

債務者名義の預貯金について,銀行・信用金庫などの金融機関から情報提供してもらうことができます(民事執行法207条1項1号)。

各金融機関から取得できる情報は,口座の有無の他,口座がある場合には支店名,口座種別,口座番号,情報提供日時点での残高です。

 

④株式情報

債務者名義の上場株式・国債・投資信託などについて,その有無の他,銘柄,数・額の情報を,口座管理機関の証券会社などから提供してもらうことができます(民事執行法207条1項2号)。

 

(2)第三者からの情報取得手続を利用するための要件

まず,債務名義(和解調書や確定判決,公正証書など)があることが前提となります。

 

次に,財産開示手続を利用するには,下記のいずれかの状況であることが必要とされております(民事執行法197条1項)。

 

a.「申立ての日前6か月内に実施された強制執行又は担保権の実行における配当や弁済金交付手続において,申立人が当該金銭債権の完全な弁済を受けられなかったとき」
つまり,6ヶ月以内に実際に強制執行等をしたものの,慰謝料の一部しか支払ってもらえなかったときということです。

 

b.「申立人が,債権者として通常行うべき調査を行い,その結果判明した財産に対して強制執行等を実施しても,当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明があったとき」

つまり,まだ強制執行をしたことはないが,判明している相手方の財産を差し押さえても,慰謝料の全額には足りないことがわかっているときということです。

なお,上記の「疎明」というのは,証明ほど強くなく,一応確からしいという程度に証拠を出せば足ります。

 

したがって,一度は相手方の財産の調査を行う必要があります。具体的には,少なくとも,債務者の自宅の不動産登記事項証明書(登記簿謄本)の原本を提出する必要があります。

 

(3)①・②の情報について取得の申立てをするために追加で必要な要件

上記の他,①・②の情報について取得の申立てをするためには,申立日より前の3年以内に「財産開示手続」という制度の利用を先に行っている必要があります。

また,②の情報について申立てができるのは,婚姻費用,養育費,親族の扶養義務等の債権者か,人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権の債権者に限られます。そのため,不貞行為に対する慰謝料の債権者の場合,②の情報については申立てを行うことができません(不貞行為による損害は精神的苦痛であり,傷害等と異なり生命・身体の侵害ではないため)。

 

(4)申立後の流れ

情報取得の申立てをしてから,概ね2ヶ月程度で情報が提供されます(期間についてはあくまでも目安です)。

預貯金情報・株式等情報については,金融機関等から申立人(債権者)に対して情報提供がされたことが,相手方(債務者)にも通知されます。申立人に最後の情報提供があってから,概ね1ヶ月後に通知がいくことになります。

そのため,預貯金・株式等の情報提供を受けた後はなるべく早く,遅くとも1ヶ月以内には,強制執行を申し立てる必要があります。さもないと,通知を受けた相手方が預貯金をすぐに全額引き出してしまうなどのリスクがあります。

つまり,情報取得手続申し立てる場合には,その後の強制執行についても必要な準備を予めしておく必要があるということです。

 

3 おわりに

従来は請求する権利が認められても,債務者の財産を発見する手段が限られており,債権者が泣き寝入りせざるを得ないという大変理不尽なこともありました。

しかし,2020年4月1日の民法改正によって,第三者からの情報提供手続が新設されて,債務者名義の財産や勤務先情報を知ることが従来よりも容易になりました。ようやく,債権者が自分の権利をしっかり実現できる社会になったといえるでしょう。

その他のコラム

不貞の調査費用はすべて相手に請求できるか

1 はじめに 不貞慰謝料請求をする上で重要となるのが、不貞の証拠です。 そして、不貞の証拠として有力なものの1つに探偵(興信所)が取得した報告書というものがあります。 これは、不貞相手と配偶者がホテルや相手の家に入るところ・出るところを写真に収めたものです。特にホテルへの宿泊では、不貞があったことを推認させる強い証拠となります。 もっとも探偵に調査を依頼した場合、その調査費用はどうなるのでしょうか。本コラムでは、探偵の...

詳細を見る

不倫をされた場合、慰謝料は配偶者と不倫相手のどちらに請求すればいいか

1.はじめに 自身の配偶者の不倫が発覚した場合、多くの方は不倫をされたことについて慰謝料の請求を考えると思います。 もっとも、不倫の慰謝料を誰に請求するかは人によって考え方が変わってくるところです。例えば、不倫をした配偶者を許して夫婦でもう一度やり直したいと考えている場合、慰謝料請求は不倫相手に対してすることになるでしょう。一方で、配偶者との離婚を考えている方の場合、配偶者と不倫相手のそれぞれに慰謝料を請求することも考えら...

詳細を見る

相手方の財産を開示させる手続き①(財産開示手続制度)

1 はじめに 示談や裁判をして慰謝料を支払ってもらえることになったのに,相手方が支払ってこないという場合には,裁判所の強制執行手続を検討することになります(ただし,公正証書ではない示談書の場合,一旦裁判手続を経由する必要があります。詳しくはこちらのコラム「慰謝料を支払わない場合,どうなるの?」をご参照ください。)。 強制執行手続は,裁判所に差押命令の申立てをして行いますが,その申立ての際には,何を差し押さえるか特定して...

詳細を見る

夫婦仲が悪い・離婚を考えていると聞いて不倫、慰謝料は発生する?

1.はじめに 不倫相手が既婚者であることを知りつつも,「もう離婚を考えている」などという話を信じて不倫してしまう方も少なくありません。 相手家族にはもう夫婦としての関係性がないと信じて不倫をした場合,それでも慰謝料を払わなければならないのでしょうか?   2.婚姻関係破綻後の不倫については慰謝料が発生しない なぜ不倫をした場合に慰謝料の支払い義務が生じるかを簡単にというと,夫婦には夫婦生活の平和の維持を...

詳細を見る

不倫したら親権は取れない?

1 はじめに 結論から言うと,不倫が原因で離婚になったとしても,親権が取れなくなるわけではありません。 ただし,一定の場合には不利な事情になることもあります。 今回のコラムでは,不倫と親権の関係について,不倫問題や離婚問題に詳しい横浜シティ法律事務所の弁護士が解説いたします。 2 親権とは まず親権とは何かということを最初にお話しします。 ※親権の内容について既にご存知の方は,この項を読み飛ばしていただいて構い...

詳細を見る

慰謝料請求の無料相談のご予約はこちら

60分無料相談実施中!