慰謝料請求の期限までに回答ができない場合の対処法
1 はじめに
不貞の事実が発覚し慰謝料請求を受けた場合、通常その通知書には「●月●日までにお支払いください」「●月●日までにご回答ください」といった期限が設けられています。
しかしながら、突如として慰謝料の請求を受けた場合、今後の対応を検討するために弁護士に相談したり、お金を用意したりと、期限までに回答できない、入金が間に合わないという方も少なくありません。
期限までに入金や回答ができない場合どのような不利益があるのか、また回答期限を過ぎてしまいそうな場合どのように対応をするのがいいのか、本コラムで解説します。
2 期限は誰がどのように決めている?
慰謝料請求の通知書に記載された期限は、請求者の判断により決められています。特に法律上いつまでを期限としなければならないという明確なルールは存在せず、入金や返答の期限を3日以内とすることも1ヶ月先とすることも可能です。実務上、10日から2週間程度の期限が設けられることが多く見受けられます。
このように期限は請求者の判断により設定されるものです。期限以内に返答しなければ罰則を受けたり、慰謝料が増額されるといった法律上のルールが存在するものではありません。
3 期限を守らないとどうなる?
期限までに連絡がない場合、請求者は改めて対応を考えることとなります。通常考えられる選択肢としては①改めて期限を定めた上で催促をする、②交渉を打ち切り訴訟に移行する、の2つのパターンです。
①の場合には、改めて書面が送付先の住所に届くことになります。もし、送付先が職場や家族も一緒に住んでいる自宅などの場合、改めて書面を送付されないようにするために期限までに何らかの行動を取ることが必要となります。
②の場合には、請求者が裁判所に提出する訴状等を作成し、それを裁判所に提出することで、後日裁判所から郵便物が届くこととなります。この郵便物の中には、訴状という請求者の請求金額や主張をまとめた書面のほか、訴訟の日時が記載された期日呼出状等が届きます。裁判所からの書面は、住所を変更した等の事情がない限り、最初に通知書が送られてきた住所と同じ場所に届くことが一般的です。
なお、既に述べたとおり期限はあくまでも請求者が自由に設定できるものですので、違反したことにより罰則を受けたり、なにか財産を差し押さえられたりといった不利益を受けるものではありません。
また、実務上、請求書の期限までに返答がなかった場合、即座に訴訟提起するケースは多くありません。再度催促の書面を送ったり、期限が経ってもしばらくは連絡を待つと行ったケースのほうが多い印象です。
4 期限までに入金・返答等ができない場合の対処法
通知書に対して返事などをしたいけれど、その前に弁護士に相談したい、準備をした上で返事をしたいといった都合により、期限を過ぎてしまうこともあると思います。そのような場合に何もせずに期限を破ってしまえば、最悪の場合裁判になってしまう可能性もあるため、望ましくありません。
そこで期限を過ぎてしまいそうな場合、まず請求者に連絡を入れることが重要です。弁護士がついている場合には、書面に弁護士の事務所の連絡先が書いているはずなので、そこに連絡を入れましょう。そして、期限までに返事や入金ができないことを伝えた上で、いつまでには返事をするという代わりの期限を伝えましょう。1〜2週間程度であれば、待ってくれることも多いと思います。
どうしても待てないと言われた場合はやむを得ませんので、できる限り早く弁護士に相談するなどして対応を考えましょう。訴訟を提起することを請求者が考えていたとしても、訴状の作成などに多少時間がかかりますから、期限を過ぎてすぐに訴訟を提起するというケースはそれほど多くありません。
5 連絡をする際の注意点
連絡をする際に注意をする点として、不貞に関する事実関係について聞かれたとしても答えないことを徹底してください。電話などで話した内容は録音をされている可能性もあるため、下手に答えてしまえば、後の交渉や裁判の中で不利に扱われる可能性もあります。
そのため、連絡の際には返答が期限までに間に合わないこと、いつまでには連絡をするといった最低限のことのみ話すようにしてください。それ以外の話を聞かれた際には、「今はお答えできません」という返答で良いと思います。
6 おわりに
以上のように期限までに返答等ができない場合でも、しっかりと対応を取れば多くの場合、不利益を被ることはありません。通知書に記載されている慰謝料金額が妥当でないにも関わらず期限までに間に合わなければとの思いから、高額な慰謝料を支払ってしまうといったことは避けるべきです。
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