慰謝料を分割で払うことはできるか?
1.慰謝料は一括でなければダメ?
不倫の事実が発覚してしまい慰謝料を支払うこととなった場合,人によってはまとまったお金を一括で用意できないこともあるでしょう。特に不倫の慰謝料は高いケースで300万円を超えることもあり,これだけのお金を一度に支払うことができない人も多いと思います。
このような場合,費用を分割で払うことはできるのか,またその場合,どの程度の分割に応じてもらえるのでしょうか。
2.慰謝料は原則として一括で支払う必要がある
慰謝料の支払いは一括で支払うことが原則です。裁判所の判決などでは一括での支払いが命じられるほか,支払いが完了するまでの間の遅延損害金についても認められることが一般的です。そのため支払いが遅れれば遅れるほど,支払金額が増えていってしまいます。
3.実務では分割での支払いに応じてもらうケースも多い
上記のとおり,一括払いが原則の慰謝料ですが,実務では分割の支払いに応じてもらうケースは比較的多くあります。
その理由として,第1にその人に資産がない場合,慰謝料を請求する側としてもお金のないところから取り立てることができないからです。
現実的に取り立てられないお金を請求するよりは,実現可能性のある分割払いでの支払いを認めたほうが相手が任意に払ってくれる可能性は上がります。
もっとも,既に述べたように慰謝料の支払いは法律上,一括払いが原則です。分割払いに応じるかどうかは,慰謝料を請求する側の判断次第ということになります。
4.どれくらいの期間での分割払いが可能?
この点については,請求権者次第になり,相場などはありません。もっとも,慰謝料を請求する側は基本的に早く問題を解決したいという考えがありますので,長期の分割払いを好ましくは思いません。例えば,10年の分割払いなどあまりに長期に及ぶ支払いには応じてもらえる可能性が低いでしょう。
長期の分割を希望する場合には,なぜ毎月自分がその金額しか払えないのか,場合によっては収入や支出の状況を説明した上で,長期分割払いの申し入れをすることも必要になることもあるでしょう。
5.分割払いに応じてもらえない場合にはどうなる?
こちらが分割払いの申し入れをして,相手がこれに応じない場合にどうなるか,これも相手方次第です。基本的には支払い方法の話し合いがまとまらなければ交渉決裂となるため,裁判をおこされる可能性が高いです。
裁判を起こされてしまった場合にも,裁判の中で自身の収入資料や資力などを説明し,裁判官に理解してもらうことで,裁判官から分割払いでの和解についての提案をしてもらえる可能性があります。そのため,裁判になってしまっても最後まで諦めず,支払い方法についての交渉をしていくことが重要です。
6 慰謝料を請求されたら弁護士に相談を
既に述べてきたように慰謝料を一括で請求されている場合でも,交渉をうまく進めることで分割払いに応じてもらえるケースは多くあります。また,支払う慰謝料の金額自体が適正な金額なのかについてもきちんと判断する必要があります。
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