不倫のせいで別居・離婚になっても,面会交流はできる?
1 面会交流とは?
面会交流とは,離婚に際して親権者とならなかった親が,子供と会ったり,文通したり,電話したりして交流することをいいます。最近では,メールやライン,写真や動画の送付といった交流のかたちも増えております。
また,離婚をしておらず,夫婦が別居している場合に,子供と一緒に暮らしていない親が,子供と会ったりすることも同様に面会交流といいます。
2 不倫があっても面会交流は求めていいの?
不貞行為(不倫)が原因で夫婦仲が悪くなって,配偶者が子供を連れて出て行ってしまったり,自分が家を出て行かざるを得なくなったりした場合,子供と会うことを求めることはできるのでしょうか。
結論を言うと,面会交流を求めることは可能です。不倫があったとしても親子であることには変わりありません。離婚原因はあくまでも夫婦間の問題であって,基本的には面会交流の可否とは関係しないのです(もちろん子供への虐待があった場合等は別です)。
3 面会交流は必ず認められるのか?
前述のとおり,不倫が原因となって別居や離婚をした場合でも,原則として面会交流は認められます。では,どんな場合でも面会交流は認められるのでしょうか。
(1)面会交流は原則的には認められる
現在の家庭裁判所の実務では,面会交流を行うことは通常子供の利益になるという考えから,面会交流は原則として実施すべきであるという見解がとられております。
もっとも,無制限に認められるわけではありません。非監護親(別居している親)と子供の関係が良好だとしても,毎日のように面会交流をしなければならないとすれば,監護親(子供と一緒に住んでいる親)に過度に負担を与えることになります。また,学校や友人と遊ぶ時間等,子供の日常生活にも影響があります。何事もバランスということで,子供の利益の観点から回数や内容等は制限されます。
(2)面会交流が例外的に認められない場合もある
前述のとおり,現在の家庭裁判所の実務では,原則として面会交流を認めるべきであるという見解がとられております。
しかし,例外もあり,実の親であるにもかかわらず子供に会わせてもらえないという場合もあります。たとえば,①子供を連れ去るおそれ,②子供を虐待するおそれ,③配偶者(元配偶者)への虐待のおそれ,④子供からの拒絶,⑤監護親または非監護親の再婚等の事情から,面会交流を実施することがむしろ子供の利益にならないような場合です。ただし,これらの事情があるかどうかは慎重に判断されることになりますし,仮にこれらの事情があるとされても諸事情を考慮して直ちに面会交流を制限する理由とはならない場合もあります。たとえば,一見子供が面会交流を拒絶しているとしても,実際は監護親に遠慮して本音が言えなくなっていただけというケースも多いです(監護親は子供に対し,非監護親の悪口を言ったり,面会交流に消極的な感情を出したりせず,子供が面会交流に前向きになれるように働きかけることが求められております)。
4 面会交流の決め方
(1)これから離婚する方
これから離婚するという方は,離婚する際に,面会交流の方法を協議して取り決めておくことをおすすめします。そして,将来の争いを防ぐため,離婚協議書の中に面会交流についての取り決めも盛り込んでおきましょう。
具体的には,下記のような項目について話し合っておくとよいです。ただし,全てをかっちりと決めておくよりも,ある程度柔軟に対応できるかたちにしておく方がよいでしょう。
①面会交流の頻度(月に何回実施するか)
②面会交流の時間(何時間実施するか,宿泊を伴うものか)
③面会交流の方法(子供の受け渡しの方法,会わせ方,場所等)
④面会交流の内容(面会,電話,手紙,プレゼント,学校行事への参加等)
⑤面会交流に関する両親間の連絡方法・協議方法
(2)既に離婚している方
非親権者から親権者に対して子供と会いたいと伝え,話し合うことになります。
話し合いがまとまった際には,面会交流について,できれば書面で取り決めておくことをおすすめいたします。
5 面会交流を拒まれてしまったら?
もし監護親(子供と一緒に住んでいる親)が面会交流を拒む場合には,家庭裁判所に面会交流調停を申し立てることもできます。
調停で話し合いがまとまらない場合は審判に移行し,裁判官が面会交流の可否を判断します。
6 おわりに
離婚する際にどのようなことを取り決めておけばよいのかとお悩みの方や,面会交流を求めたが拒まれてしまったとお悩みの方は弁護士にご相談することをおすすめいたします。
横浜シティ法律事務所の弁護士は不倫問題はもちろんのこと,離婚や面会交流といった家事事件にも豊富な経験を有しております。事務所は横浜駅を出て徒歩5分程度のアクセスのよい場所にございますので,お気軽にご相談ください。
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